こんにちは!
シリーズ10回目となりました。今回で眼科学的検査に分類される検査料の解説は終わりです。
その他の項目で超音波検査などもありますのでシリーズは継続となります。
それでは引き続きよろしくお願い致します。
*「〇」から始まる文章は参考文献からの引用です。
D273 細隙灯顕微鏡検査(前眼部) 48点
〇細隙灯顕微鏡検査(前眼部)とは、細隙灯顕微鏡検査を用いて行う前眼部及び透光体の検査をいうものであり、D257細隙灯顕微鏡検査(前眼部及び後眼部)と併せて算定できない。
・細隙灯顕微鏡と用いて、前眼部等の写真判断が必要として撮影を行った場合は、フィルム代等については眼底カメラ撮影の例により算定する。
〇細隙灯顕微鏡検査(前眼部)を行った後、更に必要があって生体染色を施して再検査を行った場合は、再検査1回に限り算定する。
補足・解釈
以前の記事、D257細隙灯顕微鏡検査(前眼部及び後眼部)に詳しく算定例を載せていますので以下の記事もお読みください。
細隙灯顕微鏡検査(前眼部及び後眼部)との同時算定はできません。
片眼を散瞳剤を使用して後眼部観察を行った場合は細隙灯顕微鏡検査(前眼部及び後眼部)で算定します。
フィルム代についても以前の記事を参照してください。
D274 前房隅角検査 38点
〇前房隅角検査とは、隅角鏡を用いて行う前房隅角検査であり、緑内障等の場合に行う。
補足・解釈
緑内障等:緑内障の病型診断のために検査を行った場合に算定できます。
隅角に異常を疑われる疾患(虹彩炎などのぶどう膜炎、外傷、白内障や緑内障など)に行った場合に算定できます。
D274-2 前眼部三次元画像解析 265点
〇注 前眼部三次元画像解析は、患者1人につき月1回に限り算定する。ただし、当該検査と併せて行った区分D265-2に掲げる角膜形状解析検査及び区分番号D274に掲げる前房隅角検査に係る費用は、所定点数に含まれるものとする。
〇前眼部三次元画像解析は、急性緑内障発作を疑う狭隅角眼、角膜移植後又は外傷後毛様体剥離の患者に対して、月1回に限り算定する。
補足・解釈
患者1人に対し、月1回の算定が可能です。
D265-2 角膜形状解析検査
D274 前房隅角検査
との併せての算定(同時算定)はできません。
D275 圧迫隅角検査 76点
前房隅角検査との同時算定は不可です。
圧迫隅角鏡を用いる。
閉塞隅角やプラトー虹彩の診断目的で検査を行った場合に算定できます。
D275-2 前房水漏出検査 149点
〇注 緑内障濾過手術後の患者であって、術後から1年を経過していないものについて、前房水漏出が強く疑われる症例に対して当該検査を行った場合に限り算定する。
〇前房水漏出検査、当該検査について十分な経験を有する医師により実施された場合に算定する。
D277 涙液分泌機能検査、涙道通水・通色素検査 38点
〇涙液分泌機能検査とは、シルメル法等による涙液分泌機能検査をいう。
D277-2 涙道内視鏡検査 640点
〇注 同一日に区分番号K202に掲げる涙管チューブ挿入術を実施した場合には、涙道内視鏡検査は算定できない。
D278 眼球電位図(EOG) 280点
「D250平衡機能検査 4電気眼振図(誘導数にかかわらず一連につき)イ皿電極により4誘導以上の記録を行った場合400点」を併せて行った場合は、主たる検査の所定点数のみを算定します。
D279 角膜内皮細胞顕微鏡検査 160点
〇眼内手術、角膜手術における手術の適応の決定及び術後の経過観察もしくは円錐角膜又は水疱性角膜症の患者に対する角膜状態の評価の際に算定する。
補足
・前眼部へのレーザー手術(後発白内障へのYAGレーザー、虹彩へのレーザー虹彩切開術、繊維柱帯へのSLT Nd:YAGレーザー)に対しても術前後で算定します。
・白内障手術後は術後3カ月まで算定します。(所管地域により違います。)
白内障手術後算定例(4/15右眼手術)
術前検査3/15→角膜内皮算定可(*月は関係なく術前検査として算定可能、片眼・両眼は関係ありません)
術後4/16→角膜内皮算定可能(*術後は同月内1回に限り算定する)
5・6・7月まで術後3カ月は月1回に限り角膜内皮は算定できます。同じタイミングでD265角膜曲率半径計測も併算します。
D280 レーザー前房蛋白細胞数検査 160点
〇レーザー前房蛋白細胞数検査測定装置を用いて、前眼部炎症の程度を診断するために、前房内の蛋白濃度及び細胞数を測定する。
D281 瞳孔機能検査(電子瞳孔計使用) 160点
〇視神経炎、視神経症等の求心性疾患や動眼神経麻痺、ホルネル症候群、アディー症候群、糖尿病による自律神経障害等の遠心性疾患又は変性疾患及び中毒による疾患の診断を目的として行った場合に算定できる。
D282 中心フリッカー試験 38点
〇視神経疾患の診断のために行った場合に算定する。
D282-2 行動観察による視力検査
1 PL(Preferential Looking)法 100点
2 乳幼児視力測定(テラーカード等によるもの) 60点
〇(1)PL(Preferential Looking)法
ア PL法は4歳未満の乳幼児又は通常の視力検査で視力測定ができない患者に対し、粟屋-Mohindra方式等の測定装置を用いて視力測定を行った場合に算定する。
イ テラーカード等による簡易測定は本検査には含まれない。
ウ 診療録に検査結果の要点を記載する。
〇(2)乳幼児視力測定(テラーカード等によるもの)
乳幼児視力測定は、4歳未満の乳幼児又は通常の視力測定で視力測定ができない患者に対し、テラーカード等による簡易視力測定を行った場合に算定し、診療録に検査結果の要点を記載する。
D282-2行動観察による視力検査の1と2は同時に行った場合は主たるもののみ算定する。
D282-3 コンタクトレンズ検査料 *施設基準あり
1 コンタクトレンズ検査料1 200点
2 コンタクトレンズ検査料2 180点
3 コンタクトレンズ検査料3 56点
4 コンタクトレンズ検査料4 50点
コンタクトレンズ検査料の区分は以下にまとめる厚生労働大臣が定める施設基準に沿った形で算定されます。
コンタクトレンズの装用を主目的として来院した患者にはコンタクトレンズ検査料を算定します。コンタクトレンズ装用のために行う眼科学的検査(区分番号D255精密眼底検査(片側)から282-2行動観察による視力検査まで)はすべてコンタクトレンズ検査料へ包括されるため算定できません。
コンタクトレンズ検査料(1)から(4)共通の施設基準
- コンタクトレンズ検査料を含む診療に係る費用について、 保険医療機関の外来受付及び支払窓口の分かりやすい場所に掲示し、患者の求めがあった場合には説明を行っていること。
コンタクトレンズ検査料1の施設基準 (参考文献から引用)
イ 次のうちいずれかに該当すること
① コンタクトレンズに係る診療を行う診療科において、初診料または再診料を算定した患者のう ち、コンタクトレンズに係る検査を実施した患者の割合が3割未満であること。
② コンタクトレンズに係る検査を実施した患者の割合が4割未満であり、かつ当該保険医療機関に眼科診療を専ら担当する常勤の医師が配置されていること。
ロ 次のいずれかに該当すること
①入院施設を有すること。
② コンタクトレンズ検査料を算定した患者が年間10,000人未満であること。
③ コンタクトレンズの自施設交付割合が9割5分未満であること。
コンタクトレンズ検査料2の施設基準
イ コンタクトレンズ検査料1の施設基準イに該当すること。
ロ コンタクトレンズ検査料1の施設基準ロに該当しないこと。
コンタクトレンズ検査料3の施設基準
イ コンタクトレンズ検査料1の施設基準イに該当しないこと。
ロ コンタクトレンズ検査料1の施設基準ロに該当すること。
コンタクトレンズ検査料は、コンタクトレンズを処方する医療機関で届出が必要な施設基準になります。毎年1月~12月の実績を基に、翌年4月~翌々年3月に算定する施設基準の区分を判断します。区分に変更があった場合には、都度届出が必要になります。また、眼科の医療機関を新規開設する場合は、開業から3ヶ月間の実績を基に「コンタクトレンズ検査料」の区分を判断します。(4月1日に開業した医療機関では、早くとも7月1日から「コンタクトレンズ検査料(1)~(3)」のいずれかが算定可能となります)開業から3ヶ月間は「コンタクトレンズ検査料(4)」を算定しますが、厚生局への届出は不要です。
算定上の注意
・コンタクトレンズ検査料を算定する場合にはA000初診料、A001再診料の夜間・早朝等加算は算定できません。
・分院のある病院で本院で初診料でコンタクトレンズ検査料を算定した場合、分院でコンタクトレンズ検査料を算定する場合、診察料はA001再診料となります。
・診察料について、通常は受診期間が開いた時には医療機関の定める初診切替期間により初診料になりますが、コンタクトレンズ検査料を算定した患者は期間が開いた場合であっても再診料での診療となります。
コンタクト検査料を算定している患者に、以下のような状態変化が伴った場合はコンタクトレンズ検査料ではなく、区分番号D255精密眼底検査(片側)から282-2行動観察による視力検査までの眼科学的検査を算定することができます。
新たな疾患の発生(屈折異常以外の疾患の急性増悪を含む。)によりコンタクトレンズの装用を中止しコンタクトレンズの処方を行わない場合
円錐角膜、角膜変形若しくは高度不正乱視の治療を目的としてハードコンタクトレンズの処方を行った場合
9歳未満の小児に対して弱視、斜視若しくは不同視の治療を目的としてコンタクトレンズの処方を行った場合
緑内障又は高眼圧症の患者(治療計画を作成し診療録に記載するとともに、アプラネーショントノメーターによる精密眼圧測定及び精密眼底検査を実施し、視神経乳頭の所見を詳細に診療録に記載した場合に限る。)
網膜硝子体疾患若しくは視神経疾患の患者(治療計画を作成し診療録に記載するとともに、散瞳剤を使用し、汎網膜硝子体検査又は精密眼底検査、細隙燈顕微鏡検査(前眼部及び後眼部)並びに眼底カメラ撮影を実施し、網膜硝子体又は視神経乳頭の所見を図示して詳細に診療録に記載した場合に限る。)
度数のない治療用コンタクトレンズを装用する患者
眼内の手術(角膜移植術を含む。)前後の患者
スティーヴンス・ジョンソン症候群又は中毒性表皮壊死症の眼後遺症に対する治療用コンタクトレンズを装用する患者
コンタクトレンズを中止しなければいけない場合や、屈折異常以外の疾患既往があり点眼や内服の処方が行われている患者についてはコンタクトレンズ検査料ではなく所定の検査及び診察料が適応されます。
まとめ
長くなりましたが今回で眼科学検査の検査料を終了します。
その他の検査項目についての解説も残っていますのでまだまだ眼科診療報酬シリーズは継続しますので、引く続きよろしくお願いいたします。
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