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眼科診療報酬シリーズ⑥ 検査料(D255~D257)

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一般向け

こんにちは、6回目です!

検査料の細かい解説に入っていきます!

一緒に算定できるもの、包括(複数項目がまとめられている)されているものがありますので算定する時には注意が必要になってきます。

眼科を受診して診療明細を見ながらこのページにたどり着いた方へ

眼科で受けられた検査は「すべてお金がとられる」と思われている方も多いですが、実はそうではありません。医師は診断のために検査をオーダーして我々視能訓練士はその検査を実施しますが、同時には算定できない項目も多々あります。重複算定できない検査であっても病気の確定診断のために行う場合も多いので、検査説明をよく聞いて検査に協力いただければと思います。専門用語も多く出てきますが参考になれば幸いです。日常の受診や診察で気になる事があれば、遠慮なく医師や視能訓練士に聞いてみてください。

では、一つずつ、いきましょう。

*「〇」から始まる文章は参考文献からの引用になります。

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D255 精密眼底検査(片側) 56点

〇手持式、額帯式、固定式等の電気検眼鏡による眼底検査をいい眼底カメラ撮影のみでは算定できない。

手持式:単眼倒像鏡を用いた方法。日本の眼科臨床では一般的なスタイル、双眼倒像鏡や直像鏡もあります。

額帯式:主に双眼倒像鏡を用いた方法。両眼視で眼底を立体的に観察することが可能となるが被検者の固定に工夫が必要になります。

固定式:細隙灯顕微鏡を用いる方法。D257と考え方を混同しないように注意が必要です。

手持式単眼倒像鏡による精密眼底検査(文光堂 視能学第1版より引用)

D255-2 汎網膜硝子体検査(片側) 150点

適応

〇増殖網膜症、網膜硝子体界面症候群又は硝子体混濁を伴うぶどう膜炎の患者に対して、散瞳剤を使用し、細隙灯顕微鏡及び特殊レンズを用いて網膜、網膜硝子体界面及び硝子体の検査を行った場合に限り算定する。

算定回数の制限

〇患者1名につき月1回に限り算定する。

両眼を検査した場合には、「両側」として所定点数に×2して算定する。

算定上の注意

併用算定不可

「D255 精密眼底検査(片側)」

「D257 細隙灯顕微鏡検査(前眼部及び後眼部)」

「D273 細隙灯顕微鏡検査(前眼部)」

汎網膜硝子体検査と併せて行った以上3種の検査との併用算定は不可となります。(〇これらの検査はすべて汎網膜硝子体検査の所定点数に含まれるものとされています)

散瞳剤の薬剤料は算定可能です

D256 眼底カメラ撮影

眼底カメラ撮影された眼底写真(私の自撮り眼底写真です)

〇眼底カメラ撮影は片側・両側の区別なく所定点数により算定する。

1. 通常の方法の場合

  イ アナログ撮影 54点
  ロ デジタル撮影 58点

2. 蛍光眼底法の場合 400点

3. 自発蛍光撮影法の場合 510点

D256 眼底カメラ撮影1~3すべてにおいて、

〇広角眼底撮影を行った場合は、広角眼底撮影加算として100点を所定点数に加算する。

広角眼底撮影

現在眼科臨床に増えてきている超広角眼底カメラを使用したものではなく、通常画角で撮影した眼底写真を繋ぎ合わせて表示・作製した「パノラマ撮影」「9方向眼底写真」のことをさします。

広角眼底撮影の適応:

(ア)3歳未満の乳幼児であって未熟網膜症・網膜芽細胞腫・網膜変性疾患の疑いがある場合。

(イ)(年齢は関係なく)糖尿病網膜症・網膜静脈閉塞症・コーツ病の患者に対して蛍光眼底法によって観察のために行った場合

算定上の注意

1~3を同日に複数の検査を行った場合においては、主たる検査の所定点数を算定する。

例:1.通常の方法、ロ.デジタル撮影58点と3.自発蛍光撮影法510点を行った場合

主たる検査、基本的には点数の高い3.自発蛍光撮影法510点を算定する

〇デジタル撮影とは、画像情報をデジタル処理して管理及び保存が可能な撮影方法をいう。

アナログ・デジタル撮影 補足

電子カルテ・画像ファイリングシステムにて管理できるように接続された眼底カメラであればデジタル撮影の方で算定します。アナログ撮影は、撮影画像がパソコン等で保存できず、毎撮影ごとにプリントアウトして紙カルテ等に貼付して管理している場合に算定します。

アナログ撮影でインスタントフィルムを使用した場合の点数もありますが、昨今ではフィルムを使用している施設をあまり見る事がなくなったため割愛させていただきます。

FUJIFILM HPより画像引用 *以前はフィルムカメラで眼底を連続撮影して現像代を自費請求していた時代もあります。
FUJIFILM HPより画像引用 *インスタントフィルムはコチラ、1枚ずつその場で印刷が可能でした。

D256-2 眼底三次元画像解析 200点

網膜光干渉断層撮影法、いわゆるOCTを撮影した場合の算定項目です。

Carl Zeiss Cirrus5000(リンク先HPより画像引用)

算定回数の制限

〇患者1名につき月1回に限り算定する。

眼底カメラ撮影と同様に片側・両側の区分はなく片眼撮影であっても両眼撮影であっても所定点数に変化はありません。

運用上で起こりうる算定例

同月内に、帰宅時の安全性を考慮し、4/1と4/8に分けて片眼ずつ散瞳検査を行った。

4/1に右眼の眼底カメラ撮影(通常の方法、デジタル撮影)58点と眼底三次元画像解析200点を行って主たる検査として眼底三次元画像解析200点を算定する。

4/8に左眼を右眼と同じ内容で検査した場合に眼底カメラ撮影(通常の方法、デジタル撮影)58点を算定する。

また、月1回算定可能ではありますが、病状に乏しい患者への連月での算定は注意が必要です。凡そ3カ月に1度程度の算定が多いと考えられます。連月の場合は病状等のコメントがあると良いかもしれません。

D256-3 光干渉断層血管撮影 400点

OCTアンギオグラフィの事です。D256-2眼底三次元画像解析(OCT)と同様です。(眼底カメラ撮影と同時算定はできません。)

Carl Zeiss Cirrus6000(リンク先HPより画像引用)

OCTと同時に検査した場合は点数の高いこちらの項目を算定することになると思われます。

OCTと同様に「患者1名につき月1回に限り算定する」ことになっていますが、同月内に2日受診され、1日目でD256-3光干渉断層血管撮影400点を算定し、2日目にD256-2眼底三次元画像解析200点を算定することはできますが、疾患・病状によっては過剰算定と指摘されることもあるため要注意です。

D257 細隙灯顕微鏡検査(前眼部及び後眼部) 112点

散瞳剤を用いて、細隙灯顕微鏡にて前眼部及び、中間透光体・網膜といった後眼部の観察・検査を行った場合に算定できます。散瞳剤の薬剤料も別途で算定可能です。

Carl Zeiss スリットランプSL800(リンク先HPより画像引用)

また、前眼部の生体染色を併せて行った場合は「細隙灯顕微鏡検査(生体染色を行った場合)48点」との重複算定が可能となります。

算定例

1.細隙灯顕微鏡検査(前眼部及び後眼部) 112点

2.細隙灯顕微鏡検査(前眼部) 48点

3.細隙灯顕微鏡検査(生体染色) 48点

「1+2」は算定できません。「1+2+3」も算定できません。

「1+3」もしくは「2+3」は算定可能です。

小括

今回はD255~D257についてまとめました。

一般の方・患者様・ご家族様へ

精密眼底検査や細隙灯顕微鏡検査は診察室で医師による説明前に受けられる検査になります。受けられる側からすると、視力検査室での機械の検査は検査を受けた意識が強まりますが診察室にも検査項目があるのは意外に感じる方もおられると思います。

多くの検査機械が色んな検査室・診察室に点在するのが眼科です。難しい機械の名前、診療報酬項目になりますが、参考になりましたでしょうか。

解説項目はまだまだ残っておりますので少しずつ進めていきますので引き続きよろしくお願いいたします。

参考・引用:保険診療便覧-点数表とその解説-(医学通信社協力編集),視能学第一版・第二版

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